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院長ブログ

起立性調節障害(OD)(2020.06.02更新)

心理学的な「モラトリアム」とは、青年が自己同一性(アイデンティティ)を確立するまでの猶予期間のことを言います。何のこと?って思いますよね。

自分って何?自分の存在意義(家庭や社会)は何?という自分探しをするときには、一定期間もがき苦しむ時間があり、その時のことをモラトリアム期と表現します。

何のために生きるのか?自分が生まれてきた意味って何?なぜ義務教育を受けなきゃならないのか?なぜ社会に出て働かなきゃならないのか? いや、そんなことを考える以前にメンタルがやられて調子が悪い。うまく表現できない。自分が自分ではないように感じる。そんな苦しい葛藤の時間が子供たちには必要です。実は小学生ぐらいからはずーっとモラトリアム期にあると僕は考えています。

もちろん、全然つまづくことなく、スーッと成長してくれる子たちもいます。手がかからなくて親も助かります。一方、「頭が痛い、胸が痛い、お腹が痛い、気持ち悪い、だるい、ふらふらする」と何やらはっきりしない不定愁訴を日々訴えかけ、「眠れない、起きられない、学校へ行けない」などの二次障害に繋がり、手がかかる子もいます。

モラトリアム期に見られるこの不定愁訴は、親・大人にはわからないこども特有のストレスが原因。このストレス、なぜ?と答えを見つけるのは無駄です。だって、理由がないんです。大人になればそのストレスは忘れて治る。そういう「時期」だというだけで、あとは感受性の個性の問題です。

小児科医はこういう現象を「起立性調節障害(OD:orthostatic dysreguration)」と呼びます。起立性低血圧とも言いますし、自律神経失調症という表現の方がわかりやすいかもしれません。

心身症の一歩手前の状態。わかりやすく言うと、「自信」を無くし「心身のバランス」が崩れている状況です。これ、実は自然に治ります。

コロナ禍で突如3月から登校自粛を強制された子供たち。解除になった今、一番足りないのは「自信」です。新しい生活様式に、不安でいっぱいなのです。OD症状のお子さんが多い。

自信は、経験値を積むことで不安から解消されます。そして何より、「大丈夫だよ」という雰囲気づくりが重要です。

6月からの登校開始で、不安や葛藤を抱えているお子さんが多いと思います。もし自分の子供がそうならば、心が病んでしまう前に親が「大丈夫?」と心配してあげて、「大丈夫だよ」と自信を持たせてあげることで、モラトリアムを卒業できることができます。もちろん困ったら我々小児科医の出番ですが、一番大切なのはやはり信頼ある親子関係の構築にあります。腫れ物にさわるような扱いをせず、真正面からぶつかってあげましょうね。

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