メニュー

おたふくワクチン

[2019.03.16]

予防接種を受ける際に、定期予防接種と任意(自費)予防接種があるのはみなさんご存知かと思います。

今の制度のなかで、保護者の方に受けるか受けないかの選択を迫られるのが、①生後2か月いきなりからはじまるロタウイルスワクチン ②1歳から始まるおたふくかぜワクチン この二つだと思います。

昔の話をすると、インフルエンザ流行が終わるホワイトデー以後の春の時期は、乳児白色便性嘔吐・下痢症の別名を持つ「ロタウイルス性胃腸炎」が爆発的に流行してました。

しかし、2011年から2012年にかけてロタワクチンが日本でも導入されると、ワクチン接種した患者さんはほぼロタにかからない有効性が日本でも証明され、接種率も上がるにつれてほとんど大流行することがなくなりました。富山県はそもそもロタワクチン接種率が高く、みなさんの熱心さが伺えます。うちのクリニックでも接種をお勧めしています。日本で使用できるのは1)ロタリックス(1価ワクチン)2回接種 2)ロタテック(5価ワクチン)3回接種 がありますが、かかる実費の総額がほぼ変わらないため、有効性が高いと思われるロタテックの方を一択で使用しております。

 

 おたふくかぜワクチンは、みなさんはご存知ない黒歴史がありまして。。。0歳台で同時接種するワクチンの本数みて驚かれる親御さんも多いと思います。僕たちもそう。1回でもチクンと痛い思いをさせる機会を減らしたい。そういう思いから、混合ワクチンへの取り組みの歴史があり、アメリカではMMRワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜ)が定期接種されています。日本は日本独自にMMRワクチンを製造し、平成元年から導入され数年間接種されました。しかし、接種した患者さんに「無菌性髄膜炎」が多発したため、4年ほどで中止となってしまいました。混合ワクチンとして相性の悪かったおたふくかぜを抜いたMRワクチン(麻疹・風疹)がその後作られ、現在使用されています。

残念ながらおたふくは置いてけぼりになってしまったのです。

おたふくかぜワクチン単体では、非常に副作用の少ないワクチンです。ただし、1回接種では有効率が6割ぐらいになるので、2から6年後に2回接種をすることで有効率を9割ぐらいまであげることが可能です。

おたふくかぜ自体は不治の病ではありませんが、特に思春期に罹患すると耳下腺炎だけではなく、副睾丸炎や卵巣炎を起こします。それが原因で男性不妊の原因になる場合がある。そして稀な合併症ですが、片側の難聴になることがあります。これは子供には自覚症状が全くなくて、なかなか気づかない。そしてその難聴は不可逆的で一生治らないのです。さらにおたふく罹患時に、1/1000人の割合でそもそも無菌性髄膜炎を合併します。

やはりワクチンで防げる病気は、ワクチンで防いでおいた方がベターだと思われます。負担は軽くはありませんが、とやまっ子子育て応援券を使うことも可能ですので、ぜひともご一考ください。

そして、早くもう一度定期接種化されることを、我々小児科医は願っております。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME