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抗生剤を嫌わないで

[2018.09.01]

20世紀の最も偉大な発見の1つが、イギリスの医師フレミングが青カビが菌を死滅させることからみつけられた抗生物質「ペニシリン」です。

細菌(ばい菌)になすすべがなかった人類は、それ以後戦う手段を手に入れ、感染症の治療は飛躍的に進歩しました。

特に1970年代からセフェム系抗生物質の登場で、抗生剤使用は爆発的に増えたと思われます。

 

小児科で出されるお薬は、以前は抗生剤以外はすべて白い顆粒でした。抗生剤は色がついていて、黄色やオレンジやピンク色の顆粒でした。

僕が医者になりたてのころは、外来で抗生剤を処方しないと「白い薬だけじゃ治らん!」と家族に怒られてました。それだけ「抗生剤は神」と信じられた時代があります。

今はどうでしょう?。情報化社会でもあり、ウイルス感染(風邪)には抗生剤は効かないことはほとんど周知されています。

厚生労働省からも、医療費削減の面から抗生剤適正使用に関しての通達がなされており、できるだけ使用しない医療現場になっております。

小児でもっとも多い細菌感染(肺炎・中耳炎など)の原因菌であるインフルエンザ桿菌(Hib)や肺炎球菌は、ワクチンでしっかり予防できるようになりました。ですから、今は我々も不要な抗生剤の処方はまずしません。

 

そんななか、色んな経験則から「こういう場合には抗生剤を使用したほうが適正に治療できる」というケースに限って抗生剤を処方します。

よく、「耐性菌が心配」との声を聞きますが、漫然と何か月も飲み続けなければ(せいぜい1~2週間程度であれば)、もともと健康な児に耐性菌ができて今後の治療がむずかしくなることや、

抗生剤が効かなくなるなんてことはほぼないといってよいです。不安な気持ちもわかりますが、抗生剤にあまり強い嫌悪感を抱かれるのも困りものです(汗)

必要なときには飲んでいただき、不要になればやめる。適正な使用を心がければ、バイ菌に負けることなく元気な体を取り戻せます。

処方については、ある程度我々を信じていただきたいなと思います。

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