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薬こそすべて

[2020.04.26]

20年ちかい前の話です。当時、ヒトDNAの全配列が解析され、今後は「遺伝子の時代」だともてはやされた時期があります。

当時僕は、とある小さい研究室で心臓の小さな電流の実験をしておりましたが、隣に大きな遺伝子研究所があり、たまたまそこへ「遺伝子治療の権威」の方が来られて、特別講演を拝聴させていただく機会がありました。当時も今も、重症心不全に対する最終治療は「心臓移植」です。一方、遺伝子治療とは、ウイルスベクター(治療遺伝子を挟み込んだウイルス)を病変部まで送り、そこで新たに心筋細胞を再生させて心臓をよみがえらせる。話を聞くだけでワクワクするような夢の治療だと感じました。

まだお若かった当時の権威の先生に「この遺伝子治療が、最も優れた治療ですよね?」と直接質問させてもらいました。

お答えは、「いいえ、どんな病気も最も完全な治療は、<1回飲めば治る薬>です。遺伝子治療は、あくまでその薬が開発されるまでの(つなぎ)に過ぎません。」ときっぱりおっしゃられました。その答えに、僕は強く感動し、忘れなれない名言です。これが科学の真理だと。病気に対峙するとき、常にこのことを忘れてはならないと。

 新型コロナウイルスのニュースで、この先生がときどきテレビに出てこられます。

コロナは、非常事態宣言や自粛では真の意味で終息しません。今や世の中すべての人が知ることになったPCR検査も、事態の把握はできますが、終息に向かわせる力にはなりません。

かなり期待はされていますが、ワクチンが早めに完成したとしても、インフルエンザワクチン(比較をしてはダメですが)同様、重症化は若干防げても、完全に予防にはならないと想像します。

やはり何より、ウイルスと戦う武器(治療薬)が、唯一無二の解決策です。

候補になっている「アビガン」は、元富山大学医学部ウイルス学教室におられた白木公康先生が開発された、メイドイン富山といっていいお薬です。

何か一つでもよいので、この未曾有の非常事態に、一筋の光明がみえることを期待しています。

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