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回復するために必要なこと

[2018.08.31]

かかりつけ医になって、診察していてちょっとわびしい気持ちになる瞬間があります。「いつから保育園にいけますか?」と聞かれるときです。

病状よりも、そちらに力点をおいて尋ねられるときがあります。

もちろん、ご家族のお気持ちも充分に察します。順調に回らない生活になると、職場を休まなきゃならないママ・パパ、無理ならばジジババに面倒みてもらうことを頼まなきゃならない。

そんな煩わしさがつい気持ちに出てしまう。

僕ら小児科医は子供の急性疾患の専門家として診察とは①今のこの病態はどういうことかをご家族に理解してもらうこと(診断をする)②どのような治療が必要か、何に注意すべきかを理解してもらうこと

③どれぐらいの期間続いたら再診が必要か?などをもっぱら説明することが主になり、病気が治った後のことまでは話さない場合もあります。

ほとんどの急性疾患は、熱も2,3日で下がります。咳も鼻も下痢も、数日がピークであとは自然に良くなります。ですが、「体調」が万全か?というとそうではないのです。

昔はよく、患った日数の2倍ぐらいは体調不良が続くと説明していました。それぐらい、「回復」には時間がかかる。

自分の都合で仕事が休めない大人は、前日夜まで熱があっても翌朝無理やり職場へ出向くこともありますが、そんなときってめちゃめちゃしんどいはずです。できれば休みたい、と思って働くはずです。

こどもだって同じこと。元気がないとき、不調なときぐらいは、お家で家族に優しく見守られながら休んでいたいはずです。

一方、病児保育や病後児保育などの有効的な利用ももちろん現代は必要ですし、困っているときにどういうケアをすればよいのか、保育のスペシャリストからお話しがきけるきっかけにもなります。

小児科医としての切なる願いは、「こどもが病気になったとき、大人都合でこどもを動かすのではなく、子供中心に大人が環境を整えてあげること」です。

お薬も必要ですが、患ったときに一番必要なのは家族の優しさとかかわりだと、僕は思います。

もちろん、お母さんばかりがつらい思いをするのもよろしくないです。こどもが病気になったときに、ストレスなく親が看病できる社会構造をもっと考えてゆく必要があると思っています。

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