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RSウイルス第3波

[2021.06.14]

4月初旬に今シーズン初めてのRSウイルス患者さんを検出してからもう2か月以上経過しております。総計としては300人以上を診断しています。

兄弟間での感染も一部ありますが、メインは保育園・幼稚園クラスターで爆発的に流行します。そして潜伏期の4-6日を経て二次的な広がりを見せます。一か所の保育園での流行の収束には最低でも3,4週間かかります。もうすでに流行を終えた保育園もたくさんありますが、まだ終わっていないあちこちで爆発的な発生が見られます。最終的に高岡で流行が落ち着くのは6月下旬か7月初旬だと思います。

今一度RSVについて要点を述べます。RSVは小児のウイルス感染症の中では最も重症です。特に今年は0歳・1歳・2歳・3歳ぐらいまでが重症化(下気道炎になりぜーぜーし、熱が長く、鼻咳が2週間ほどしつこく残る)します。0歳児(特に生後6か月未満)や喘息既往のあるお子さんは呼吸困難が容易に悪化するため入院加療が必要です。一方、4歳以降(年中組・年長組)は比較的軽い鼻・咳症状で終わってしまうので診断に至らない(登園を見合わせなくてもよいような)ケースが多いです。当院では1週間分の処方をしており、1週間は保育園を休むようにお願いしています。症状が残っている場合はもう1週間処方を加えます。インフルエンザに対するタミフルのような治療薬はRSにはありません。通常の風邪は最初の2,3日が症状のピークで治りますが、RSの厄介なところは発症(鼻汁・咳嗽・発熱)してから5-7日目ぐらいまで、右肩上がりに症状が悪くなることです。だから最初の1週間はひたすら耐えるしかなく、次の1週間は今度は日に日によくなり計2週間で完治します。そんな特徴を踏まえながら、日々診療の場ではみなさんに説明をしております。 ただ、いくらRSが最強最悪の感染症だとしても、発症してしまった子供たちには何も罪はありません。何とかお薬をしっかり飲んでいただき良くなるように願います。そしてまだ感染性が残っているかもしれない発症1週間以内に登園を避けることが、感染拡大を防ぐ唯一の努力目標になってきます。小さければ小さいほど重症化しますので、集団保育上のモラルを持って対処してください。

 もし、「保育園でRSが流行っています」という言葉が、「保育園で新型コロナが流行っています」に変わったら、みなさんは自分の子供をあえて登園させますか?。こういうコロナ禍だからこそ、今一度予防という側面や、感染を拡大させてしまうかもしれないという新しい常識のレベルを上げることを期待してやみません。

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