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マイコプラズマ感染症のあれこれ

[2024.08.20]

子供達の世界では6月から手足口病が始まり、7月がピークで、現在は2回目の手足口病(熱がないケースが多い)にかかるケースも見受けられます。夏休みの残りが1週間となった小中学生の皆さん、ちょっとそわそわし始めたのでは?

さて、巷でニュースになり始めました「マイコプラズマ感染症(以下マイコと略す)」の事を書きます。

 マイコは、しつこく続く乾いた咳が特徴のかぜです。僕が医学部生だった頃に習ったのは、オリンピックの年(4年周期ぐらい)に流行するので、「オリンピック肺炎」(まさに今年はパリ五輪だった)と言ったり、通常の細菌性肺炎(バイ菌が原因でヤバい肺炎)と違い、元気だけどもレントゲンを撮ると肺炎像があることから「異型(イケイ)肺炎」という、とも習いました。昔は4週間開けて抗体値の上昇を採血で確認する必要がありましたが現在は、喉の奥をグリグリと綿棒で擦って①迅速キット②PCRなどで直接調べることが一応可能になりました。ただ、全例調べる必要があるのか?と言われると全く違います。何故なら、検体採取にコツがあり、キットでの陽性率が低いというネックがあるからです。陽性は陽性ですが、陰性だからマイコじゃないとも言い切れません。

 実はマイコの大部分は薬なしで自然治癒しますし、有効な治療薬があります。エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンなどのマクロライド系抗生剤、ニューキノロン系抗生剤、最終兵器としてはミノマイシンなどの抗生物質でマイコを完治できます。しかも「飲み薬」で治すことができます。肺炎=入院というイメージがありますが、自宅で治せる感染症なのです。ただし1−2週間ほどしっかり飲んでもらう必要はあります。しつこく乾いた咳、夜だけ激しく咳き込む咳などでマイコが疑われる場合、検査をするより治療薬をお渡しする方が重要です。発熱が5日以上続く、咳・倦怠感が強いなど、治りが悪い場合のみ検査しても良いかもしれませんが、結局は抗生物質を処方して様子を見てもらうことになります。診断より治療優先、それで良いと僕は思っています。

ちょっとしたマイコの特徴として、①0歳1歳2歳などには少なく、年中年長以上から小学生ぐらいがターゲットとして多いこと ②潜伏期が2−4週間と長いため、どこでうつされたかわからないことが多いこと ③小学生以上は初期症状として発熱のみ(少しのどが痛い、後々咳がひどくなる)だけなので、ごく初期はコロナと見分けがつかない(コロナは3日以上熱が続くことが稀なので経過でわかります)④熱が続かないケースは、咳だけなので「喘息」と言われて治療される場合がある、などなどです。

 夏休みが終わって2学期に入ると少しずつ増えてくるかもしれません。ただ言っちゃなんですが、マイコもRSなどと同じ「咳風邪」です。あまり報道に煽られないでください。しつこい咳風邪にはそれに合わせた処方をすれば良いので、なかなか咳が治らんなあという時は病院へ受診してください。なお全身状態がよければ登校可ですが、なんとなく咳が不安な場合は咳エチケットとしてマスクを着用しましょう。

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