こどもの腹痛で一番多いもの
僕はむかしからおなかが弱くて、腹巻必須な子でした。腹巻しないで寝るとすぐにおなかが痛くなってうんちがゆるくなる人で、今でいう過敏性腸症候群でした。今でもちょいちょい夜中におなかをこわします(笑)
さて、子供の腹痛をで一番多いのは「便秘」ですが、もともと何日に一回しか出ない「慢性便秘」のお子さんではなく、ほぼ毎日ちゃんとうんちが出ているお子さんでも「便秘」を起こします。
晩御飯を食べる前ぐらいから「おへそを中心としてやや下腹」に、急に差し込むような激しい痛みが起こることが多いです。なので、夜間救急外来でよくこういうケースに遭遇します。
普段は「便秘」じゃないけど、「便秘」みたいなことが起こることがあり、僕はそれを勝手に「排便関連痛」と言っています。
毎日出ている。でもそれは100%で腸が空っぽになるわけではありません。我々人間は「宿便」が少しずつ少しずつ蓄積してゆきます。うまく排泄されることが圧倒的ですが、たまたま何らかのきっかけで、この「排便関連痛」の激痛が起こってしまうことが、普通のお子さんでも数年に1回ぐらいのレベルであり得るのです。小さい子に限らず、中学生・高校生、いや大人に至るまで同じ現象はあり得ます。
治療はとにかく「浣腸」して、直腸付近で停滞している宿便を「スルっ」と出してもらう。のた打ち回るぐらいの痛みが、ケロッと元気になるので、僕らも親御さんもそして本人もとっても安心できます。
このような、普段は便秘じゃない便秘という現象がおこることを覚えておいて欲しいのです。
小児の腹痛の原因は、感染性腸炎(食中毒)・急性虫垂炎(盲腸)・腸重積・アレルギー性紫斑病の腹痛・鼠径ヘルニア(脱腸)・精巣捻転・実は喘息や肺炎など胸から関連するものなどなど、挙げ切れないほどたくさんの鑑別診断がありますが、割合でいうと95%ぐらいは「排便関連痛」です。我慢できないぐらいの急な腹痛が起こったときは、もしかして?と思いながら病院または救急センターなどを受診していただけたら幸いです。実にシンプルに、治りますんで。