貯めてはいけない
[2018.11.02]
しばしば外来で、「咳き込んで嘔吐してしまう」という症状で困って来院されます。で、意外かもしれませんが僕はいつも「吐いた方がよい」とお話しします。
もちろん、喘息発作で吐くほど咳き込んで、喘鳴から呼吸困難になる場合は入院が必要にはなりますが、通常の風邪症状ならば、咳き込みは「体内に残ってはいけない異物を排泄」しようとする生体防御反応です。
咳を我慢して下気道にウイルスや細菌が残ってしまうよりは、遠慮なく吐き出したほうが重症化が防げるという発想です。貯めてはいけない。
咳き込んで吐いているお子さんが、肺炎になっているのをほとんど経験しません。うまく吐き出せているんですね。
いろんなものを身体に貯めてはいけない証拠に、人間は排泄には快感を伴うようにプログラムされています。
おしっこが出るとすっきりするし、うんちも出るとすっきりするし、運動して汗をかいてもすっきりする。気持ち悪くても吐くとすっきりする。悲しくて涙を流したら、心がちょっとすっきりする。ストレス発散にカラオケで大声で歌うとスッキリする。だから、人間って、体に貯めていいものってほとんどないんです。
精神的余裕とお金の余裕。貯めていいものって、それぐらいでしょうか(笑)。
これは貯めてはいけないの逆で、飢えてはいけないになりますね。両者のバランスが大切だと思います。