ツロブテロール貼付剤(ホクナリンテープ)
添付文章より。ツロブテロール貼付薬(ホクナリンテープ):効能は「下記疾患の気道閉塞性障害に基づく呼吸困難など諸症状の緩解:気管支喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫」
もともと咳に対する治療薬としての「ツロブテロール塩酸塩」は、飲み薬があります。そのお薬の適応症である気管支喘息は「morning dip」と呼ばれる明け方の呼吸困難症状が問題視されていました。
夜にお薬を飲んでも、明け方になると効果が切れてしまい発作が起こる。そこで、ゆーっくりと効果が現れる(具体的には貼付後6-8時間後に作用が現れる)気管支拡張剤が必要でした。
この貼付剤、なぜか多種多様なお薬のなかで非常に珍しく、経皮吸収で効果効能を発揮することができるものとして喘息をメインに設計されたといっても過言ではありません。
北陸製薬(今はもうないですが)が作ったから、「ホクナリン」テープという名前になりましたが、現在はジェネリックが大多数を占めるので、ツロブテロール貼付剤となっています。
この貼付薬、風邪で咳がひどいときなどによーく処方されます。何しろ飲まなくてよい薬は特に乳幼児には「ネ申」で、非常に便利。効果効能を知ってうまく使いこなすことがとっても大事です。
①就寝前に貼りましょう。もし朝になってはがれていたからといって、もう一枚貼るのは過量投与になることがあるので避けてください。
②軌道閉塞性障害(詰まっている)の気管支を拡げるのが効果。咳を止めるという効果ではなく、間接的な効果として咳き込みを軽減させます。
薬を飲まない、飲ませるのが大変というベースがある小児医療にとって、なくてはならないものですが、どうも世の中では正しい効果を理解されておらず、また間違った使い方に危惧しております。
このお薬、「β刺激薬」というもので交感神経を緊張させるので、間違ってたくさん投与すると心臓までドキドキと不整脈を起こします。
若干適応外使用が多いにしても、小児にはなくてはならない貼付薬。正しい使い方を主治医や調剤薬局さんで説明を受けて、お子さんたちの咳が少しでも軽くなるように上手に利用しましょう。