外来と入院のはざまは
雪がぜんぜん降らないせいでしょうか? 高岡も都会の冬みたいな乾燥した空気と気温のせいで、鼻水・せき・ゼーゼーといったアレルギー性の喘息症状のお子さんが少し増えています。
例年は4月から5月にかけてこういう状況になるので、少し慌てん坊な喘息・花粉症症状が今年は増えるのかもしれません。
かかりつけ医は入院施設を持たないので基本は「外来」診療です。通院という言い方もしますが、要は日常生活は通常通りに行い、病院には診察やお薬をもらいに来てもらいます。
では、どんなときに「入院治療」になるのでしょうか? 具体的な例をあげて説明します。
①喘息やRSウイルス感染のときのように、呼吸困難があり自宅で様子をみることができない場合。眠れない、ゼーゼーして横になれない、ゼーゼーしてとにかく機嫌が悪いなど。
②胃腸炎でげぼげぼ吐き続けて、脱水になっている状態。経口摂取(のんだり食べたり)が全くできないので、24時間持続で点滴が必要なもの。
③肺炎・中耳炎・尿路感染、扁桃炎などで、発熱の原因が自然に治る「ウイルス」ではなく「細菌」によるもの。内服抗生剤の効果が期待できないもの。これについては、だいたい血液検査で「白血球数が高い」とか「CRP値が高い」という説明をされます。点滴から適正な抗生剤治療を投与して治療を行います。
④川崎病のように、特殊な点滴治療薬が必要なもの。⑤熱性けいれん後で様子観察が必要なお子さん。⑥社会的な問題で、自宅療養が難しい場合。
などなどです。予防接種の充実して以来は、髄膜炎や敗血症などの小児重症感染は本当に姿を消して、手のかかる入院患者さんは目覚ましく減少していると思います。喜ばしいことです。
ですが、やはり未だに入院治療が望ましいような「こじれた」ケースもあり、その場合は適宜紹介させていただくことにしています。
総合病院で勤務していた時代も今も僕のポリシーは変わりなくて、「入院という環境はこどもにも保護者にも多大なるストレスになるため、基本は自宅療養が望ましい」と考えております。
できるだけ、「入院しましょう」という言葉を出したくない。ですから外来治療で多少無理をすることもありますが、予定通りにいかずに夜に悪化する場合も。
診察後に夜悪化してしまった場合は、救急病院に頼ってもらうことになるため、申し訳ありません。
未だに、外来で大丈夫、とか入院が必要、という線に「絶対」がないため、自分のなかでの葛藤もしながら、ご家族・保護者さんの意見も汲み取りつつ診療を行っております。
とにかく外来か入院かを悩むうえで、重要な情報はここでも「元気があるか?」というところだと思います。いつもより全然元気がない場合は、やはり速やかな受診が必要だと思ってください。