水いぼ、とる?とらない?
プールの時期になると、今でもこの話が必ずでます。
伝染性軟属腫(水いぼ)は、ポックスウイルスの一種が原因の皮膚感染症です。脇の下にかけてポツポツと丘疹ができます。大きくなると、イボらしい茎をもつこともあります。
ウイルスが原因であること、悪い病気ではないこと、接触感染すること、プールの水ではうつらないこと(プールに入っていいこと)、数か月から半年ぐらいで自然に治ること。
これらについては、保育や学校の現場ではかなり周知されてきたと思います。
しかし、①医学的には治療の必要性はない(自然治癒を待てばよい)、②社会的には治療が望ましい(うつす)、この二つにずっとはさまれている現状です。
水いぼをピタリと消すお薬はありませんし、予防接種もありません。個人がウイルスに対する抵抗力(抗体)ができて、自然治癒するのを待つのみです。
当然塗り薬もありません。飲み薬として有名な「ヨクイニン」という漢方薬も(効く)というよりも(増やさない)ぐらいの効果しかありません。
ここからが悩みどころで、皮膚科医へ行くとトラコーマ鉗子(みずいぼ用のピンセット)でとられます。液体窒素でやく方法をとられる先生もいます。
一方、小児科医でとる人はもういないと思います。自然治癒するものに、痛い目にあわせて、病院に対する恐怖心を植え付けることは小児科医ならば避けます。
ただし、個数が非常に多いもの、もともとお肌が弱い子にできた水イボに対しては、多少の治療が必要であることも事実。
とる?とらない? どちらも間違ってはいません。一人ひとりの症状に応じて、今対応すべきかどうかを決めましょう。