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ダイアップ坐薬の適正使用を

[2018.12.21]

何度かブログでも触れていますが、こども、特に乳幼児にしかない症状として「熱性けいれん」があります。繰り返しますが、「熱性けいれん」は病気ではなく、発作性の「症状」です。

「熱性けいれん診療ガイドライン2015」がほぼ唯一のEBMであり、我々小児科医もこれを根拠にお話ししています。

急な発熱を起こす冬場のインフルエンザもこの熱性けいれんを起こしやすいウイルスです。これからの季節は注意が必要です。

さて一度熱性けいれんになった場合に、よく保育園から「今後熱が出たときの対応についてかかりつけ医で相談してきてください」といわれて来院されることがあります。

そこには、一般的には「熱性けいれん」=「熱がでたらダイアップ坐薬を使うべき」という偏った考え方が浸透していると思われます。

いまだにやみくもに1回でも熱性けいれんをおこしたらダイアップ坐薬をつかいなさいと処方される先生もおられます。

<ガイドラインより以下抜粋> ※DZP(ダイアップ)座薬使用の適応基準※

【1】遷延性発作(持続時間15分以上)

【2】次の(1)から(6)のうち2つ以上を満たした熱性けいれんが2回以上反復した場合 (1)焦点性発作または24時間以内に反復する。(2)熱性けいれん出現前より存在する神経学的異常、発達異常(3)熱性けいれんまたはてんかんの家族歴(4)12か月未満(5)発熱後1時間未満での発作(6)38度未満での発作

該当するかどうは医師の判断が大事になりますが、上記の基準を満たすお子さんは実際には少ないのです(熱性けいれん児全体の約10%)。

熱性けいれんになった場合には、「救急車」で救急病院へ搬送されて対処してもらうことが多いと思います。そこで診察されたうえで、今後の熱性けいれん予防の話をされなかった場合には適応はないと思います。

僕も救急ではかならず、適応があれば「適応あり」、適応のない方には「適応なし」とお話ししておりました。

 親としてこどもがけいれんを起こすのを見るのは忍びないという心情は重々承知ですが、実は何回起こしても特に問題はないのです。

ですから、「絶対におこしてはいけない」「毎回発熱したらダイアップ坐薬をつかわなければならない」ではなく、「適応があるものだけは、ダイアップで予防」が正しいのです。

日々お子さんをあずかる保育園の先生方にも覚えておいていただきたい。

そして、熱性けいれんを起こしやすいお子さんに早めの解熱剤を使用しても熱性けいれん自体は予防できません。

ある意味では、甘んじて成り行きに任せるしかないのが、熱性けいれんへの正しい対応であることをぜひみなさんもご理解ください。

大人になってまで熱性けいれんを起こすことはありません、それを支えに、小さい頃だけは見守ってあげてください。

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