◆見張りイボと便秘のお話し
乳幼児期に、「イボ痔かも」という主訴で受診される方が結構おられます。仰向けでおしりの12時の方向にぽっこりとイボのようなものができています。
これは、俗称「見張りイボ」というもので、排便時にいきみで肛門の皮膚のひだが伸びることでできるもので、イボ痔とは異なります。
圧倒的に女児が多い印象があります。
見張りイボ自体は、炎症を起こさない限りは色もほかの肛門部と同じで、それ自体には痛みなどはありません。
たまにひだの一部が切れて出血するときもありますが、それも清潔を保つだけで特に治療は必要ありません。
なぜできるのか?というと、間違いなく便秘が理由です。コロコロと硬い便しかでない。排便しようにもスッと排便ができない状況を繰り返すと、徐々に皮膚のたるみが増えてゆきます。
ちゃんと排便コントロールができると、見張りイボ自体も小さくなります。
こどもの便秘は、マルツエキスやオリゴ糖、ヨーグルトや繊維質のものをたくさん食べるなどの食事管理を試してみても、出ないときはどうしてもでません。
そんなときは治療はお薬の力をかりる必要性があります。
シロップ剤(ラクツロース)・液剤(ラキソベロン)・散剤(酸化マグネシウム=カマ)・座薬(テレミンソフト)そして極め付けは浣腸(グリセリン浣腸)です。
市販されているイチヂク浣腸も悪くないのですが、子供用は10gと小さいために不完全な刺激になりうまくうんちを出せない可能性があります。
うんちは、理想的には毎日ほぼ同じタイミングで1日1回は出る。しかもいいうんちがでる。これを目指してゆきます。
少し大きくなって、聞き分けができるようになったら、本人に便意がなくても、毎日同じ時間に「うんちしようね」とトイレにしばらく座らせる、トイレットトレーニングもぜひ一緒にやってゆきましょう。
お薬を使って大丈夫でしょうか?浣腸はクセにならないでしょうか?という質問もよく聞きますが、何より5-7日も排便しない方がよくありません。
主治医と相談しながら、いい排便習慣をつけてゆきましょう。