メニュー

あいまいな表現に含まれる意味

[2018.11.19]

以前にもご紹介した学校保健安全法の施行に準じて、児童および生徒および職員の健康維持のため、ある一定の感染症については登園・登校許可基準が設けられております。

これには「法律」なのですが、この遵守を決定するのはその園や学校の長であり、我々医師が登校(園)許可を診断するわけですが、それを妥当と判断するのは集団生活を預かる施設側にあります。

インフルエンザは「発症後5日、かつ、解熱後2日(乳児3日)が経過するまで」。溶連菌は「適正な抗生剤治療開始後24時間経過し」など具体的な時間軸が記されていますが、

今流行っている「流行性嘔吐・下痢症」については、「嘔吐・下痢症状が軽快し、全身状態が改善されれば」というあいまいな規定です。

このあいまいな表現に含まれる意味は、①各々罹患した児童に、回復までの個人差が存在するということ。②明確に記さないことで、時期尚早に登校(園)することへの警鐘、という意味が読み解けます。

本来望ましくないのは、「昨日の夜から嘔吐したんですが、今朝から吐かなくなったので」と無理な登園・登校をすることです。不安定な状況では、容易に感染するリスクが高い。

感染症を考えるときに、他者から自分に感染する(うつされる)ことも注意はしたいですが、自分から他者に感染する(うつす)危険性があることを、親も理解し責任をもつように心がけてほしいのです。

僕からみなさんに、具体的にどうして欲しいのかという案をお示しすると、

①最後の嘔吐から最低24時間以上は経過していること ②熱がある場合は下がってから24時間以上経過していること ③下痢の頻度が1日2,3回でおむつからはみ出ない程度であること ④普段とほぼかわらない食欲。

これらを満たして初めて「うつさない状態」になったと判断するのが妥当だと考えています。

体調不良なときには、大人も仕事に行かずにお家にいたいと感じるはずです。ならば子供たちは尚更、不調ならばお家で保護者と過ごしたいと感じているはずです。

体調も重要ですが、こういうこどもの心理状態も汲み取ってどうするかを決めるとよいと思います。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME