お刺身がおいしくなる頃に
こどもに流行する病気には、年間カレンダーみたいなものが存在します。もちろん1月2月3月は「インフルエンザ」で、今年の予防接種がしっかり効果があることを願います。
例年、ワクチン接種してもインフルエンザに罹るお子さんたちには、打つ側の僕にとっても心苦しいものがあります。接種時期も、10月スタートがよいのか、ぎりぎり12月末に2回目がいいのか。
はたまた、受験生などは1月2月にもう一回などという意見もあるぐらい、インフルエンザワクチンについてはいまだに混沌としたものがあります。でも、打たないより打った方がやはり良いです。
さて、昨今だいぶ肌寒くなりました。クリニックもいよいよ今週から暖房を入れています。寒くなってくると子供たちに「胃腸炎」が流行してきています。
今年の胃腸炎は例年と違い、「嘔吐」がなく「下痢」だけの模様です。従来の胃炎⇒腸炎のパターンとは異なっています。もちろん吐き気がある子もなかにはいますが。
今の時期ぐらいからお刺身がとてもおいしくなります。お魚に油が乗って、夏場とは一味違い美味です。海産物もまたおいしくなります。
胃腸炎の原因として有名な「ノロウイルス」などは、牡蠣などの二枚貝が感染源となることが知られています。二枚貝が大量の海水を吸い込み、ウイルスが濃縮しノロウイルスに汚染されると言われています。
もちろん生でこういった貝は食べない方が良いわけですが、好きな人は大好きな生牡蠣。そして決して牡蠣だけが感染源ではないような気がします。だって、お魚がおいしい時期になると流行るので。
食べて感染するだけではなく、胃腸炎を発症した患者さんの吐しゃ物や便からも容易に二次感染します。ノロはさらに空気感染するといわれており、ほぼそうなると防ぎようがないともいえます。
ノロ以外にも何種類か胃腸炎を起こすウイルスが知られていますが、大人も当然感染して症状が出ます。感染対策は塩素系消毒液をうまく活用して二次感染を防ぎましょう。
下痢については、悪いものは出すだけだして整腸剤のみ内服し、下痢が止まり食欲が完ぺきに戻るには約1週間ほどかかることを知っておいてください。
もちろん食事は、消化のよいものがベストですが、多少お子さんの食欲を満たす普通の食事でも僕は良いと思っています。