やがて大人になるみんなへ(5年目の挨拶)
僕が医者になった1994年と比べて、今はこどもたちが乳幼児早期から病院を受診する機会が増えました。定期予防接種が増えて、病院で数多くチックンされます。その代わり、過去に我々が戦った乳児早期の悲惨な感染症は劇的にゼロになり、ワクチンの効果は絶大だと実感できるのは僕ら世代の小児科医までかもしれません。平和が当たり前になった。
また昔より早く集団保育に入るお子さんが増えたので、0歳児、1歳児は新学期の春からしばらくはずーっと風邪引きを繰り返し、熱が出たといっては病院に連れて来られます。泣き叫びながら無理やり「モシモシ」されますし、口も無理やり開けさせられますし、パパママも待たされるは暴れるわで嫌になることが多いと思います。家で薬飲ませるのもまあ一苦労ありますし。どうしても子育て中は病院とは縁が切れないです。それだけに病院との「合う合わない」は重要です。<実は同じ処方でも、調剤薬局で差が出るので、ここも重要です>
病院(クリニック)はこどもらには決して楽しいところではありません。ならばいかに必要な時に、こどもたちを怖がらせず、またご両親にも「受診で嫌な想いをした」という負担を減らし、医療に対するネガティブな感情を持たないでもらえるかが重要で、僕たち医療者の対応にかかっています。お互いに心地悪くないという感情の土台の上に、さらに診察や検査治療や説明を的確に行うことで信頼関係を築き、実は質の低くない町医者医療を如何に提供できるか。それを小児科医は考えながら日々仕事をしています。
やがて大人になるみんなへ。痛いこと、嫌なことをしていつもごめんね。でもそんな君たちもいつしか成長し、大人になって病院とは縁遠くなる日が必ず来ます。先生は君たちと関わりながら、「守られる存在」から、次の世代を「守る存在」になれるように、強く逞しく育ってくれることを願っています。
平成30年4月24日に開業し、これで5年目を迎えます。老化著しい僕ですが、なんとか次の世代まで診られるの楽しみに、これからも日々皆様に役に立てるクリニック目指して頑張ります。これからもどうぞよろしくお願いします。 上勢