◆トドラーの下痢
日本でも、ベビー服・ジュニア服のサイズの一つとして「トドラーサイズ」というものも少しずつ認知されるようになっています。
トドラーとは、「よちよち歩きのこども」という意味ですが、医療用語的には、離乳期に入った赤ちゃんから1歳半ぐらいのことをトドラーと呼ぶ場合があります。
離乳食をいつ始めたらよいのですかという質問には、「生後6か月以上、よだれが増えてきていること、お座りの姿勢がしっかりとれること(誤嚥しないように)」と説明をしております。
早く食べさせてみたいというご家族のわくわくは理解できますが、実は栄養価の面では離乳食よりも母乳・ミルクのほうが有利です。
食べる、という行為には、消化・吸収という消化管の機能がしっかりしていないとうまくできません。もともと赤ちゃんには、未熟な腸内細菌叢しかないため、消化も未熟です。
卵や魚卵そのものや、牛乳、ヨーグルトといった生々しい食べ物、しっかり加熱していないたべものを食べると消化吸収できないため、食物アレルギーではないのに難治性の下痢症を起こすことがあります。
水まではいかないものの、シャワシャワの便がでる。ただ本人は機嫌もよく、食欲もある。体重減少もない。でもなかなかよくならない。
こういう状態を、いわゆる良性乳児下痢症=トドラーの下痢といいます。これは一度なると、2~3か月ぐらいなおらないこともあります。
治療としては、離乳食の内容を中期や後期から初期レベルにまで戻したり、完全に母乳やミルクだけ(味はまずいですが、ミルクアレルギー用ミルクのほうが吸収しやすい)に戻す。
さらには下痢で失われた腸内細菌叢のバランスを取り戻すために、長期にわたり多めの量の整腸剤を使用することで対処します。しかし、やはり治すのに時間がかかります。
基本的には、1歳半ごろまでのこどもの腸は、大人と一緒のものを食べられるほどは成熟していないので、その時期までは食べさせるものを無理しないほうがよいと思います。
まあ、食べさせてみないとわからないのが実際です。順調に離乳食をすすめられたらよいのですが、いったんこのような症状になった場合には、一度小児科医にご相談ください。