百日咳に関すること
最近一部の保育園・小学校の方から、「百日咳が流行っています」と耳にします。
良い機会なのでぜひとも一度、百日咳とはどういう症状になるのかをググっていただきたいのです。
典型的百日咳は、「カタル期」「痙咳期(けいがい期)」「回復期」に分けられ、文字通りではなく約2ヶ月ほど咳が長引く病気です。乳児がかかった場合に、特有の連続性の咳(スタッカート)をして、咳き込んだあとの特有の息の吸い方をして(笛声:whooping)、これを発作的に繰り返す(レプリーゼ)というパターンをとります。乳幼児がかかると危ないので、これを予防するために生後3ヶ月から「四種混合ワクチン」を3回接種し、1歳半頃に追加接種してしっかり「予防」をしています。極めてまれな場合を除いては、そもそも乳幼児は「ワクチンで百日咳を予防できている」と安心して構わない状態なのです。
百日咳が心配なのは、この四種混合ワクチンの効果が切れてくる、年長児・小学生・中学生および大人ということになります。この年代に打っていないことがワクチンギャップといわれ、欧米などではちゃんとワクチンが定期接種化されています。日本でも早く就学前に三種混合を追加接種すべきですが、まだ未実施なので、百日咳が小学生から大人にかけてみられるのです。なお、2018年から百日咳が「全例報告義務」されたことから注目され、注目されると医療者側も気をつける。気をつけるから「頑固な咳」に対して「百日咳を調べる」。調べるから報告も増える。という一つのスパイラルで、昨今あたかも増えているように報じられているのです。
検査するにしても、特殊な検査になるため、インフルエンザのように鼻を拭って5分で結果がでるものではありません。咽頭拭い液で直接百日咳菌がいるかどうかを調べたり、採血して抗体価を調べる検査をするにあたり、結果は数日から1週間ほどかかります。病院に行けばすぐ診断がつくわけではないのです。ですから、やはり治療が優先です。疑わしい場合は休んでもらいますし、まず適正な抗生剤内服5日の治療を実施しながらどうするかを考えます。
とにかく、聞き慣れない病気となると不安が先走りますが、一定の年齢以上のお子さんが少し注意が必要なだけなので、冷静な対応をお願いいたします。