一人目と二人目
「上の子はこんなに小さい頃からかぜをひかなかったのに」と言われるケースがよくよくあります。
これは、そもそも風邪はなぜ引くのかという理由に立ち返らなければなりません。一般的に言われる「風邪」というものは、「自己発生」することはありません。
ヒトからヒトへ感染するウイルスがほとんどです。誰かから、うつされるのです。
宿主といって、ウイルスを運ぶ動物(インフルエンザだと鳥、ノロだと牡蠣などの貝類)からの感染が実際はスタートにはなりますが、拡散するときはほとんどヒトヒト感染です。
極論を言うと、ヒトが全くいない無人島で生活すると風邪を引くことはないですし、宇宙にもウイルスはいません。しかしそんなところで生活はしません。
ヒトがたくさんいる場所、特に免疫力が弱い「子供」がたくさいる場所で感染は起こります。
一人目のお子さんの場合、超早期の集団保育さえしなければ、赤ちゃんの周囲にいるのは親も含めてほとんど免疫的に強い大人であり、親がウイルスを持ち込まない限りは風邪をひきません。
だから初めて発熱した場合の半数は1歳前後ぐらいの「突発性発疹症」で、ヒトヘルペス6型が親から経口感染するのが定石です。
一方、二人目、・三人目になると、上のお子さんが集団保育から風邪を持ち込むことが多くなり、いくら大人が気を付けても鼻たれのお兄ちゃんお姉ちゃんが見事にウイルスを運んできます。
お家で兄弟を分離して生活することは現実的には困難であるため、早くから風邪をひいてしまうというからくりが生まれます。
兄弟が同じウイルスにかかってしまうのは避けられないことです。インフルエンザならば48時間、アデノウイルスや溶連菌感染ならば5-7日間、水疱瘡ならば2週間、それぞれの潜伏期間を経て発症します。
病院を受診される際には、「上の子が○○で」という情報がとても大切になるので、ぜひ問診票に書いていただけたら幸いです。
月齢が早くて風邪をひくとやや重症化しやすいというマイナス面はありますが、こどもは結局たくさん風邪を引くことで徐々に免疫力がつき、次第に風邪をひかなくなります。
時期が早いか遅いかですが、いずれにしろ経験しなければならない修行期間みたいなものだと考えてください。小学生になれば、ほんとに強くなりますから。
で、持ち込まない・重症化させないためには、やはり大人を含めた周囲の、帰宅時の手洗い・うがいが重要ですので、特に小さいお子さんが家にいる場合は周知徹底をしましょう。
いよいよインフルエンザが高岡医療圏でも発生しつつあります。外出時のマスクなども工夫し、みんなで赤ちゃんたちを守ってゆきましょう。