時期尚早(子供たちへの新型コロナワクチン)
世界が、新型コロナウイルス感染症を完全に制圧するにはまだまだ時間はかかります。一方、ワクチン接種を進めてゆくことが、閉ざされた世の中の重い扉を開ける大事なコンテンツであることに間違いありません。
接種後のデータがすでにそろっています。大人が接種することについては、コンセンサス(世論の同意)は得られるぐらいに科学的根拠があります。もちろん「絶対に安全」という綺麗事を言うつもりはありません。注射部の痛み・発熱・倦怠感などの副反応は頻繁にみられますし、アナフィラキシーも起こることもあり得るし、最近は心筋炎合併もよく報告されています。因果関係ははっきりしませんが、接種後翌日に死亡、みたいな報道もあります。「絶対に安全」ではないにしろ、「積極的に勧奨」して接種率を上げる(おそらく95%ぐらいまで)ことで、通常生活を安心して暮らせる日が近づきます。やはり、感染した場合に症状がひどい「大人」へのワクチンは是非とも勧めてゆくべきです。皆さんも順番が来たら是非ワクチンを受けましょう。
一方、15歳未満の子供は、現在に至ってもやはり新型コロナ感染での重症例はほぼいません。報道では「学校でクラスター」「保育園でクラスター」とあたかも悲惨なニュースにもみえますが、実際には「検査で陽性」でもほぼ無症状か、軽い風邪症状程度だそうです。「こどもにとってコロナは、所詮ただの風邪」が今でも真実です。それを踏まえた場合に、特に個人を守るためのワクチンの必要性が子供には見当たりません。今やる?っていう疑問があります。欧米で始まったから、日本も政府が「夏休み中に」と報道しているから、それを「やらなきゃならないもの」と考えるのはまだ正しい判断ではありません。欧米でもまだ子供たちへの接種でのデータが少なく、安全性に根拠がありません。大人の例でいえば、注射部の痛みは必発ですし、2回目の接種では7割の人に発熱・倦怠感が来ます。そもそも重症化リスクのない子供に、そのリスクを負わせるべきではないと思いませんか? 集団生活の感染経路はほぼ大人からです。保育士・園の先生・学校の先生方・デイサービスの職員が職域接種で感染対策を行えば、クラスターの発生を抑制できるはずです。とにかく、諸外国での小児のワクチンの安全性・危険性がみえてくるまでは、新しいワクチンが出てくる可能性も含めて、現状としては「子供たちのワクチン接種は時期尚早」、まだ静観して待つべき。国の政策がどうであろうと、子供たちに本当に必要なものかどうかを見極め、必要でさらに安全性が高い!と断言できる時期が来るまでは、まだ焦って勧める必要はないと、小児科医の大半は考えています。
もちろん、ワクチンは間違いなく有効です。まぎれもない事実。大人は積極的に打つべきです。ただし、子供たちに誤った使い方をしてしまうと、ワクチンそのものが否定的(悪)なレッテルを貼られてしまう危険性があります。現状ある唯一の武器は、こどもにはまだ早いというのが我々の意見です。「打った方がよいですか?」と聞かれたら、「今はまだ様子見でよい」と答えます。