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ほどほど(中道)が良いというお話

[2024.06.02]

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい」

夏目漱石の<草枕>の冒頭部分の有名な文章です。理論理屈的に正しいからといってそればかり世の中に求めると人とぶつかり合う。かといって情けばかりかけると正しさからは遠のくこともある。意地(プライド)はなかなか捨てられないが、自分の意見を通そうとすると人間関係はややこしくなる。うーむ、うまく生活するって難しい。考え方の軸足をどこに置くか?というのは人生のテーマであります。

 このブログを読む人は、おそらくとても心優しくて、少し迷いがある子育て中の方々。根拠のない自信過剰さんでもなければ、恐ろしいほどネガティブさんでもないはず。そんな人は小児科医のブログは読まない(笑)

 一つに秀でた人を、人間は尊敬する。ノーベル賞をとるような学者さんや、凄まじく稼ぐプロスポーツ選手。芸術家(画家・音楽家)もそうである。でもほとんどの人にはそんな突飛な人生は待っていない。尊敬はしても真似はできない。では、人生の中で大切にしなければならないテーマとはか?と考えるに、「ほどほど(中道)」が良いというのが僕の結論です。

 中道とは仏教用語で「極端な行動や思考を避け、均衡と調和を保つ生き方」を指します。過度な自己犠牲もなければ過度に快楽に溺れることもしない。過度に厳格でもなければ、過度に自堕落でもない生き方。そう、みんなが普通にしている「普通」でいることが、一番の人生の安定なのです。

 波乱万丈な人生などはドラマや映画に任せる。自分の子供は自分の遺伝子が半分、ならばほぼ自分と似た能力しか持って生まれていない。特別を望んでも出来上がる結果は? 自分を鏡で見ればわかるはずです。悲しいですがそれが現実ってものです。トンビが鷹を生むというケースは限りなく少ない。親子とは、似たもの同士なのです。

ネット情報は、不安を煽りお金を稼ぐビジネスばかりで、何の正しさもない。しばしば目にするお得情報に振り回されてしまう気持ちもわからないでもないですが、基本は「みんながやっていること」をやればよく、「みんながやっていない(世の中でメジャーになっていない)こと」は、やる必要はない。自分だけ先にお得なものと思って飛びついたら、だいたい騙されますよ。こども関連ビジネスで、善良な親を騙そうとする悪人がどの世の中にもいます。情に流されず、お気をつけください。

 さて、長々と無駄話を書きましたが、大震災で始まった今年ももう6月まできました。梅雨に近づくと必ず食中毒注意報が発令されます。とにかく巷は咳風邪が大流行中ですが、きっと胃腸炎もまた流行します。感染対策の基本は「手洗い・うがい・しっかり休息」です。普通にすることが大事ですからね。皆さんお気をつけください。

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