感染対策をしている幼稚園・保育園・小学校の先生方へ
新学期になり、子供を預かる施設での感染対策をいっそう厳しい指導にされているのは、心情的に理解できます。一方、目に余る「連れてくるな」の圧力も患者さんからの問診で感じます。いくつかお願いしたくてブログを更新します。 ①いまだに大人⇒子供感染が主である:まだ今も、クラスターを発生させる要因の主は大人です。先生方自身の「家庭内感染予防」と「体調管理」が最も重要なポイントです。子供に関わる職種はほぼ全員ワクチン接種済みだと思いますが、万が一まだ接種していなければ、その個人からの感染が施設として最も危険である共通認識を持ってください。 ②保護者の体調:病院でもそうですが、子供が発熱した場合に一番重要視しているのは、保護者に体調不良がいないかどうかを聞くことです。児童の鼻水・咳・下痢などで病院受診を勧める(やや強制的?)のも大事ですが、そこに保護者がどうか?で危険性が全然変わります。兄弟感染ではなく、親子感染に意識を強く向けて話を聞くことが大事です。そしてあと2か月もすれば、「保護者がワクチン済」かどうかも重要ポイントになります。 ③抗原検査とPCR検査:現在、クリニックレベルと病院レベルでの検査は異なっていて、いまだにクリニックではほぼ検査はしません(院内感染対策予防のため)。当院では感染の可能性がわずかに高い場合は、僕もフルPPE(防御)をして、患者さんには駐車場の車内に待機していただき、抗原定性検査(いわゆるキット、結果は15分で出る)を実施しています。PCRはまだにやっておりません。検体を採るのが大変なのと、検体を検査センターまで患者さんが車で運んでもらわなければならないのがクリニックレベルでのPCRで、そして結果は5-6時間かかるので結局翌日にしかわかりません。疑い濃厚ならば、総合病院へ紹介した方が早いので、現状はそうしています。 一方抗原定性検査は、従来のインフルエンザやRSVみたいに「念のため調べてみましょうか!」という感じで発熱者全員に検査するということは絶対にしません。問診として近日の行動歴や家族歴から、どうしても検査をした方が良いと判断したときのみ、実施します。ですから発熱した患者さんに「コロナの検査はしましたか?」と安易に聞くのは絶対にやめて欲しいです。某、国民的女優さんですら、発症して5日目ぐらいにようやく抗原検査陽性です。発熱した当日、翌日に検査してもまず陽性に出ません。それが抗原検査の限界であり、やはり確定診断はPCRに委ねられます。国から検査キットが配布されるらしいですが、所詮キットなんてそのレベルだということをご理解ください。(陰性だから安全だという保障は一切ありません)。それらの現状をご理解いただいた上で、今後も感染対策をよろしくお願いいたします。 非常に苦しい日々ですが、子供たちにとって、幼保・学校は「楽しく過ごす」場所であることが最も重要です。対策に気をとられすぎて、児童に居心地悪い場所になっていないかどうかも意識をお願いします。 9月になり、今は季節の変わり目なので、感染ではなくて鼻水・咳を出しているお子さんたち、お腹を冷やして下痢をしているお子さんたちが多くいることも、わかってくださいね。とにかく、受診の強要・検査の強要はくれぐれもされないようお願いします。